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九尾狐(クミホ)異伝
第3章 月夜の変化(へんげ)
俊秀は彩里の腕を取り、そっと手首を撫でる。たったそれだけの触れ合いにも、彩里の華奢な身体に官能のさざ波が走ったのを彼は見逃さなかった。
俊秀が無垢だったこの娘の身体を作り替えてしまったのだ。ほんの少し触れただけで、忽ち官能の焔を燃え立たせ、身悶える淫らな女に。
だが、と、俊秀は彩里の腕をさすりながら考える。
この女は真実、張(チヤン)彩里という女なのだろうか? 俺が心底から求め、欲してやまない女は現実に存在する―現身(うつせみ)の女人なのか?
人が聞けば、さぞ愚かなことをと嗤うだろう。現に今だって、こうして共に湯に浸かり、官能的で親密なひとときを分かち合っているというのに。これほどの絶対的な現実に対して、何をどう言えば、現実ではないと疑う余地があるのだろう?
俊秀が無垢だったこの娘の身体を作り替えてしまったのだ。ほんの少し触れただけで、忽ち官能の焔を燃え立たせ、身悶える淫らな女に。
だが、と、俊秀は彩里の腕をさすりながら考える。
この女は真実、張(チヤン)彩里という女なのだろうか? 俺が心底から求め、欲してやまない女は現実に存在する―現身(うつせみ)の女人なのか?
人が聞けば、さぞ愚かなことをと嗤うだろう。現に今だって、こうして共に湯に浸かり、官能的で親密なひとときを分かち合っているというのに。これほどの絶対的な現実に対して、何をどう言えば、現実ではないと疑う余地があるのだろう?