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九尾狐(クミホ)異伝
第3章 月夜の変化(へんげ)
はるか昔、この国が国号をまだ高麗と名乗っていた御世のこと、人間の男を愛した九尾狐がいたという。この狐は彩里と同じように正体を偽り、人間というかりそめの姿で男の前に現れた。男は忽ちにして美貌の女に夢中になり、二人は結ばれた。
人間の姿でいるときも、九尾狐はたまに元の姿に戻らねばならない。始終、かりそめの姿を保つのは大変な妖力を使うのだ。満月の夜に本来の姿に戻り、存分に月の光をその身に浴びることで、次の満月までかりそめの姿を保ち続けるだけの力を蓄えられる。狐にとって、満月の夜の光は妖力の源なのだ。
高麗時代、人間の男を愛した狐もまた、満月の夜毎に、本来の姿に戻らねばならなかった。ある満月の晩、女が狐の姿に戻って月光浴していた時、男がその姿を見てしまった。それがすべての悲劇の元となった。
人間の姿でいるときも、九尾狐はたまに元の姿に戻らねばならない。始終、かりそめの姿を保つのは大変な妖力を使うのだ。満月の夜に本来の姿に戻り、存分に月の光をその身に浴びることで、次の満月までかりそめの姿を保ち続けるだけの力を蓄えられる。狐にとって、満月の夜の光は妖力の源なのだ。
高麗時代、人間の男を愛した狐もまた、満月の夜毎に、本来の姿に戻らねばならなかった。ある満月の晩、女が狐の姿に戻って月光浴していた時、男がその姿を見てしまった。それがすべての悲劇の元となった。