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九尾狐(クミホ)異伝
第3章 月夜の変化(へんげ)
今日、俊秀は彩里を伴い、都を取り囲むようにして聳えるこの山にやってきた。表向きは薬草摘みのためであり、彩里にもそう説明した。しかし、この山ゆきには実は二つの意図があった。一つは今夜が満月の夜であるということ。多分、山に連れてくれば、満月の夜には必ず彩里が何らかの行動を起こすのではないかという目算である。
更には、山が生まれ故郷だという彩里を連れてきてやりたかったという純粋な気遣いだ。どうしてか、彩里は山で生まれ育ったという事実を隠したがっているようだ。
別段隠すようなことでもないし、彩里がふるさとである山を誇りにもし、同時に懐かしんでいるのも判っていたから、連れてきてやれば歓ぶと思った。
更には、山が生まれ故郷だという彩里を連れてきてやりたかったという純粋な気遣いだ。どうしてか、彩里は山で生まれ育ったという事実を隠したがっているようだ。
別段隠すようなことでもないし、彩里がふるさとである山を誇りにもし、同時に懐かしんでいるのも判っていたから、連れてきてやれば歓ぶと思った。