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九尾狐(クミホ)異伝
第3章 月夜の変化(へんげ)
 既に十二月の半ばを迎えようとしているこの時期に、秋桜が盛りと咲いているのも面妖といえば面妖である。冬に群れ咲く秋桜と澄んだ泉、それらを照らす満月―、何とも非現実的な光景である。
 俊秀は現とは思えない眼前の光景を固唾を呑んで見つめた。
 突然、彩里がチョゴリの前紐を解き始めた。―おい、何をしている!
 思わず叫びそうになり、辛うじてその衝動に堪える。周囲を慌てて見回してみても、自分の他に誰もいない。この際、細かいことには眼を瞑るしかないだろう。
 俊秀の焦りをよそに、彩里はチョゴリ、チマを脱ぎ、更には上の下着、チマの下に穿くズボンまでさっさと放った。
 一糸纏わぬ姿になると、そのまま泉に飛び込む。
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