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九尾狐(クミホ)異伝
第3章 月夜の変化(へんげ)
 俊秀はまたしても、大声を出しそうになり、辛うじて止めた。
 何ということだ。この寒い冬、しかも気温の下がる深夜の森で、泉に飛び込むとは。水は凍えるほどに冷たかろう。心ノ臓が止まったら、どうするのだ? 風邪を引いて肺炎でも起こしたら? もう、気が気ではない。
 が、俊秀は直にその心配も怒りも忘れ果て、あまりにも魅惑的な光景に見惚れた。
 彩里は今、胸の膨らみを惜しげもなく晒し、泉に浸かっている。丸いふっくらとした白い乳房に蒼い月影が陰影を刻み、何とも淫猥でありながらも清らかな光景を呈している。
 立ち泳ぎをしていたらしい彩里はやがて、ザッと水音を立てて、泉から出た。月の光が彩里の肢体を余すところなく照らし出している。
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