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九尾狐(クミホ)異伝
第4章 宿命
それにしては、彩里がいつものように健康そのものなのが今一つ解せない。俊秀は、深夜、こっそりと小屋を出た彩里の後をついていっただけで、特別に何かをしたわけではない。
裏腹に、彩里は真冬のこの寒さの中で、冷たい泉に入り、水浴びまでしたのだ。その後、一糸纏わぬ姿で月光を浴びていた。普通の人間なら、必ず風邪を引く―どころか、肺炎を起こしてしまうだろう。
しかし、見たところ、彩里は常と変わらず、むろん俊秀のように高熱も発してはいない。
そんなところも、彩里がやはりただ人ではないのだと思わざるを得なかった。九尾狐は狐の中でも特別な妖力を持つ生きもので、狐とはいえども、ただの狐ではない。その寿命は人間などが思いも及ばないほど長く、中には数百年を生きるものもあると聞く。
裏腹に、彩里は真冬のこの寒さの中で、冷たい泉に入り、水浴びまでしたのだ。その後、一糸纏わぬ姿で月光を浴びていた。普通の人間なら、必ず風邪を引く―どころか、肺炎を起こしてしまうだろう。
しかし、見たところ、彩里は常と変わらず、むろん俊秀のように高熱も発してはいない。
そんなところも、彩里がやはりただ人ではないのだと思わざるを得なかった。九尾狐は狐の中でも特別な妖力を持つ生きもので、狐とはいえども、ただの狐ではない。その寿命は人間などが思いも及ばないほど長く、中には数百年を生きるものもあると聞く。