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九尾狐(クミホ)異伝
第4章 宿命
表で立ち話もできないとやむなく執事を家に上げたものの、話を聞くなり、俊秀は激怒した。
「良い加減にしてくれ。いきなりやって来て、他人の女房を寄越せだなどと言われて、誰が大人しく承知するものか」
眉をつり上げる俊秀に対して、俊秀の父親と言って良い年齢の執事は淡々と続ける。
「そなたの怒りは判らぬでもないが、ここは堪忍して、我が(テーガン)旦那(ナーリ)さまのご意向に添った方がそなたら夫婦のためにも良いのでは?」
「―」
俊秀が黙り込んだのを、執事は誤解したらしく、勢い込んで喋り始めた。
「よくよく考えてみるが良い。何も旦那さまは、そなたの女房を差し出せと仰せになっているわけではない。ただほんのひと晩、女房を所望しているだけなのだ。
「良い加減にしてくれ。いきなりやって来て、他人の女房を寄越せだなどと言われて、誰が大人しく承知するものか」
眉をつり上げる俊秀に対して、俊秀の父親と言って良い年齢の執事は淡々と続ける。
「そなたの怒りは判らぬでもないが、ここは堪忍して、我が(テーガン)旦那(ナーリ)さまのご意向に添った方がそなたら夫婦のためにも良いのでは?」
「―」
俊秀が黙り込んだのを、執事は誤解したらしく、勢い込んで喋り始めた。
「よくよく考えてみるが良い。何も旦那さまは、そなたの女房を差し出せと仰せになっているわけではない。ただほんのひと晩、女房を所望しているだけなのだ。