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九尾狐(クミホ)異伝
第4章 宿命
「お前を殺して、俺も死ぬ。二人で一緒に死ねば、兵曹判書にお前を差し出さなくても済む」
俊秀の瞳の底に蒼白い焔が燃えていた。
怒り、嫉妬、絶望、哀しみ、様々な感情が俊秀の端整な顔を一瞬のうちによぎっていく。
彩里は小さくかぶりを振った。
「私―、行くわ」
「馬鹿を言うなッ。お前、兵曹判書の屋敷に行けば、何をされるのか判ってるのか?」
彩里が哀しげに笑んだ。
「それくらいは私だって、知ってる。もう、子どもじゃないもの」
「それなら! 何で、あの好色な男のところに自分から行くなんて言うんだ?」
俊秀が悲鳴のような声で叫んだ。
彩里はその気迫に気圧されたように眼を伏せる。
俊秀の瞳の底に蒼白い焔が燃えていた。
怒り、嫉妬、絶望、哀しみ、様々な感情が俊秀の端整な顔を一瞬のうちによぎっていく。
彩里は小さくかぶりを振った。
「私―、行くわ」
「馬鹿を言うなッ。お前、兵曹判書の屋敷に行けば、何をされるのか判ってるのか?」
彩里が哀しげに笑んだ。
「それくらいは私だって、知ってる。もう、子どもじゃないもの」
「それなら! 何で、あの好色な男のところに自分から行くなんて言うんだ?」
俊秀が悲鳴のような声で叫んだ。
彩里はその気迫に気圧されたように眼を伏せる。