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九尾狐(クミホ)異伝
第4章 宿命
どちらかといえば、対する者に好印象を与える類の人物だろう。ただ、細く切れ上がった眼だけが油断ならぬ光を放ち、鼻下に蓄えられた髭、やや肉厚の唇がこの男の並々ではない好色さを唯一、示しているようだ。
「大(テー)監(ガン)さま(ナーリ)」
彩里は吐息のような声で呟くと、婉然と微笑む。その凄艶ともいえる色香を放つ美貌に、色好みで知られる兵曹判書も息を呑んだ。
急ぎ足で階(きざはし)を上ってくる。
「さ、このようなところにいては風邪を引く。中に入りなさい」
彩里に見蕩れていた金ソンイはコホンとわざとらしい咳払いでごまかし、彩里の手を取った。
「おお、可愛らしい手がこんなに冷えている。おいで、儂が温めてやろう」
ソンイに手を取られたまま、彩里は大人しく部屋に戻った。
「大(テー)監(ガン)さま(ナーリ)」
彩里は吐息のような声で呟くと、婉然と微笑む。その凄艶ともいえる色香を放つ美貌に、色好みで知られる兵曹判書も息を呑んだ。
急ぎ足で階(きざはし)を上ってくる。
「さ、このようなところにいては風邪を引く。中に入りなさい」
彩里に見蕩れていた金ソンイはコホンとわざとらしい咳払いでごまかし、彩里の手を取った。
「おお、可愛らしい手がこんなに冷えている。おいで、儂が温めてやろう」
ソンイに手を取られたまま、彩里は大人しく部屋に戻った。