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九尾狐(クミホ)異伝
第4章 宿命
彩里は淑やかな身のこなしで銚子を持ち上げ、ソンイの差し出した盃に酒を注いだ。
「国王(サンガン)さま(マーマ)おん自らがご酒をお絶ちになっているというのに、朝廷の臣たるお方がこのような場所でお酒をお飲みになっていて良いのですか?」
彩里の質問に、ソンイの太い眉が露骨にしかめられた。
「可愛い顔をして、興醒めなことを申すでない。誰があのような神経症病みの王の命なぞ、まともに聞くものか。民のために節約と言えば聞こえは良いが、国王(チユサン)殿下(チヨナー)のあれは最早、行き過ぎというより異常だ。一日の食事は薄い粥が二度、更には、ご自分だけでなく我々大臣にまで、粥をすすり、酒絶ち女絶ちをせよと仰せなのだらな」
「国王(サンガン)さま(マーマ)おん自らがご酒をお絶ちになっているというのに、朝廷の臣たるお方がこのような場所でお酒をお飲みになっていて良いのですか?」
彩里の質問に、ソンイの太い眉が露骨にしかめられた。
「可愛い顔をして、興醒めなことを申すでない。誰があのような神経症病みの王の命なぞ、まともに聞くものか。民のために節約と言えば聞こえは良いが、国王(チユサン)殿下(チヨナー)のあれは最早、行き過ぎというより異常だ。一日の食事は薄い粥が二度、更には、ご自分だけでなく我々大臣にまで、粥をすすり、酒絶ち女絶ちをせよと仰せなのだらな」