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九尾狐(クミホ)異伝
第4章 宿命
その問いには、彩里は艶然とした笑みで応えた。
「大監は先刻、国王殿下のことを神経症病みだと決めつけたけど、その殿下はあなたの可愛いご息女の良人、あなたにとっては娘聟。聞くところによれば、何でもご息女はご懐妊中とか、薬草の中には一度呑んだだけで、呑んだ当人だけでなく腹の胎児まで殺してしまう空恐ろしき薬もございます。あなたのご息女や未来の国王となるべきかもれしない御子が儚くなっても良いと?」
女官に紛れて後宮に忍び込むことなど、造作もないことですよ。
しまいの科白は殆ど聞こえるか聞こえないくらいの声で囁き。
彩里は唇を勝利の笑みの形に象った。
そのときだった。
突如として、手脚に力が入らなくなり、彩里はよろめいた。
「大監は先刻、国王殿下のことを神経症病みだと決めつけたけど、その殿下はあなたの可愛いご息女の良人、あなたにとっては娘聟。聞くところによれば、何でもご息女はご懐妊中とか、薬草の中には一度呑んだだけで、呑んだ当人だけでなく腹の胎児まで殺してしまう空恐ろしき薬もございます。あなたのご息女や未来の国王となるべきかもれしない御子が儚くなっても良いと?」
女官に紛れて後宮に忍び込むことなど、造作もないことですよ。
しまいの科白は殆ど聞こえるか聞こえないくらいの声で囁き。
彩里は唇を勝利の笑みの形に象った。
そのときだった。
突如として、手脚に力が入らなくなり、彩里はよろめいた。