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九尾狐(クミホ)異伝
第4章 宿命
―な、何?
 狼狽え、懸命に身体の重心を取ろうと試みたが、自分の身体が他人のものになってしまったかのように自由がきかない。
「あ―」
 彩里は悲痛な声を上げ、その場に倒れた。
 ソンイがニヤリと厭な笑いを浮かべ、近づいてくる。
 彩里はうつ伏せに倒れた格好で、ソンイを恨めしげに睨んだ。
「いつもなら、もっと早くに効いてくるのに、今日は随分と遅かったな」
 ぐっと顔を近づけられ、彩里はあまりの嫌悪感に吐きそうになる。
「一体、何をしたの?」
 声すら、まともに出ないほどの脱力感、無力感が身体を支配していた。
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