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九尾狐(クミホ)異伝
第4章 宿命
ソンイが愉快そうに言う。
「まだ気づかぬのか? 香油だよ、香油」
「―!」
彩里は悔しさに歯噛みした。湯浴みした直後、侍女たちによって身体中に塗り込まれた香油、あの中に薬が仕込まれていたのだ。恐らくは神経を麻痺させ、身体の自由を失わせる薬。
ソンイが更に顔を近づける。互いの呼吸すら聞こえるほど間近に来られ、思わず顔を背けようとすると、ソンイに顎を取られた。
「安心せよ。この痺れ薬は意識を失わせる類のものではない。ただ、身体の自由を奪い、その分、身体中の感覚という感覚があり得ないほど鋭くなる。儂が抱いてやれば、普通に感じる以上の快感をそちは感じることができる。その中、身体が火照ってくるであろうから、さぞ、儂に抱かれるのが待ち遠しいことであろうよ」
「まだ気づかぬのか? 香油だよ、香油」
「―!」
彩里は悔しさに歯噛みした。湯浴みした直後、侍女たちによって身体中に塗り込まれた香油、あの中に薬が仕込まれていたのだ。恐らくは神経を麻痺させ、身体の自由を失わせる薬。
ソンイが更に顔を近づける。互いの呼吸すら聞こえるほど間近に来られ、思わず顔を背けようとすると、ソンイに顎を取られた。
「安心せよ。この痺れ薬は意識を失わせる類のものではない。ただ、身体の自由を奪い、その分、身体中の感覚という感覚があり得ないほど鋭くなる。儂が抱いてやれば、普通に感じる以上の快感をそちは感じることができる。その中、身体が火照ってくるであろうから、さぞ、儂に抱かれるのが待ち遠しいことであろうよ」