この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
九尾狐(クミホ)異伝
第4章 宿命
「―兵曹判書の屋敷の者か?」
彩里が泣き笑いの表情で言った。
「罪のない使用人を殺したりはしないわ。死んだのは兵曹判書その人よ」
流石に、その事実には衝撃を受けた。
「兵判大監を殺った―」
「最初から殺す気はなかった。それは本当よ。あいつが媚薬など使わなければ、最悪の事態は起きなかったでしょうに」
「媚薬?」
眉をつり上げた俊秀に、彩里は淡々と閨での出来事を話した。
入浴後に塗られた香油に、痺れ薬と媚薬が混じっていたのだと―。
「くそう、あいつ」
俊秀がいきり立って飛んでゆこうとするのに、彩里が鋭い声で言った。
彩里が泣き笑いの表情で言った。
「罪のない使用人を殺したりはしないわ。死んだのは兵曹判書その人よ」
流石に、その事実には衝撃を受けた。
「兵判大監を殺った―」
「最初から殺す気はなかった。それは本当よ。あいつが媚薬など使わなければ、最悪の事態は起きなかったでしょうに」
「媚薬?」
眉をつり上げた俊秀に、彩里は淡々と閨での出来事を話した。
入浴後に塗られた香油に、痺れ薬と媚薬が混じっていたのだと―。
「くそう、あいつ」
俊秀がいきり立って飛んでゆこうとするのに、彩里が鋭い声で言った。