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九尾狐(クミホ)異伝
第2章 突然の求婚
と、妙な視線で眺められた挙げ句、しまいには気の毒げに
―それとも、生まれつき身体に欠陥があるとか?
と同情される始末である。
まあ、そんなことで喧嘩をするほど流石に俊秀も大人げなくはなかった。
その話題はそれきりとなり、ヨンスとは気持ち良く酒を酌み交わし、酒場を後にしたのがつい先刻だ。
その酒場は年老いた女将が一人きりでやっている小さな見世で、俊秀はたまに呑むときには、ここに来た。若い砌は妓生だったという女将ははや六十に手が届こうかという歳で、少々耳が遠い。注文も耳許で怒鳴るように言わないと伝わらないという、いささか風変わりな見世である。
―それとも、生まれつき身体に欠陥があるとか?
と同情される始末である。
まあ、そんなことで喧嘩をするほど流石に俊秀も大人げなくはなかった。
その話題はそれきりとなり、ヨンスとは気持ち良く酒を酌み交わし、酒場を後にしたのがつい先刻だ。
その酒場は年老いた女将が一人きりでやっている小さな見世で、俊秀はたまに呑むときには、ここに来た。若い砌は妓生だったという女将ははや六十に手が届こうかという歳で、少々耳が遠い。注文も耳許で怒鳴るように言わないと伝わらないという、いささか風変わりな見世である。