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九尾狐(クミホ)異伝
第2章 突然の求婚
全く二十一にもなって、この有り様では、確かにヨンスにどこかおかしいのかと真顔で言われても、仕方がないかしれない。
俊秀が一人で苦笑いを零したその時、前方からかすかな話し声が風に乗って聞こえてきた。
―何だ、酔っ払いか。
そう思って緊張を緩める。月の美しい宵だから、自分だけでなく、他の連中も似たり寄ったりのことをしているのかと思うと、更に愉しくなった。
今の王さまは謹厳な方で、常に質素倹約を座右の銘とされていると聞く。口癖は〝民草のための政治を〟らしいが、それが高じて、禁酒令を漢陽だけでなく朝鮮全土に徹底させようとしているというのだから、傍迷惑なこと極まりない。
俊秀が一人で苦笑いを零したその時、前方からかすかな話し声が風に乗って聞こえてきた。
―何だ、酔っ払いか。
そう思って緊張を緩める。月の美しい宵だから、自分だけでなく、他の連中も似たり寄ったりのことをしているのかと思うと、更に愉しくなった。
今の王さまは謹厳な方で、常に質素倹約を座右の銘とされていると聞く。口癖は〝民草のための政治を〟らしいが、それが高じて、禁酒令を漢陽だけでなく朝鮮全土に徹底させようとしているというのだから、傍迷惑なこと極まりない。