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九尾狐(クミホ)異伝
第2章 突然の求婚
王宮に暮らす王さまは質素な日々を送るといっても、やはり庶民よりはマシな食事にありつけるだろう。腹が空けば、歌舞音曲で気を紛らわせるもできる。
でも、庶民には金がないから、そんな贅沢も気晴らしもできない。せめて酒場で安酒を飲むくらいしか、日々の憂さを晴らすすべはないのだ。なのに、禁酒令とは、あまりに酷すぎはしないか?
あの馬鹿げた触れのせいで、漢陽の酒場からは酒という酒がなくなった。とはいっても、庶民もしたたかだから、禁酒しろと言われて、〝はい、そうですか〟と唯一の愉しみを我慢するはずがない。ひそかに手を回し、安酒を手に入れてちびちびと飲んでいる者は少なくはない。
でも、庶民には金がないから、そんな贅沢も気晴らしもできない。せめて酒場で安酒を飲むくらいしか、日々の憂さを晴らすすべはないのだ。なのに、禁酒令とは、あまりに酷すぎはしないか?
あの馬鹿げた触れのせいで、漢陽の酒場からは酒という酒がなくなった。とはいっても、庶民もしたたかだから、禁酒しろと言われて、〝はい、そうですか〟と唯一の愉しみを我慢するはずがない。ひそかに手を回し、安酒を手に入れてちびちびと飲んでいる者は少なくはない。