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九尾狐(クミホ)異伝
第2章 突然の求婚
もとより、一介の薬売りである俊秀に世の中を変えるだけの力も気概もない。しかし、恐らくはこの国の大部分を占める民―自分のような何の権力も持たない庶民が心では同じことを願っているだろうことは容易に想像できた。
しばらく眉月を眺めながら例の歌を口ずさんでいた俊秀は、ふっと口をつぐんだ。
前方から歩いてくる二人連れの姿が次第にはっきりとしてきたからだ。
―役人だ!!
俊秀は思わず拳を握りしめていた。
こんな場所で役人に見つかるわけにはゆかない。もし見つかれば、今の自分がかなり酔っているのはすぐにバレてしまうだろう。
役人に相当量の酒を呑んでいることが知れれば、間違いなく役所に連行され牢に閉じ込められる。
しばらく眉月を眺めながら例の歌を口ずさんでいた俊秀は、ふっと口をつぐんだ。
前方から歩いてくる二人連れの姿が次第にはっきりとしてきたからだ。
―役人だ!!
俊秀は思わず拳を握りしめていた。
こんな場所で役人に見つかるわけにはゆかない。もし見つかれば、今の自分がかなり酔っているのはすぐにバレてしまうだろう。
役人に相当量の酒を呑んでいることが知れれば、間違いなく役所に連行され牢に閉じ込められる。