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九尾狐(クミホ)異伝
第2章 突然の求婚
しかし、では、どこでこの娘に逢ったのかと訊かれても、応えられない。否、彼が娘に逢うのはこれが初めてなのは間違いがない。
なのに、どこかで逢ったことがあるとは―? 自分でも話の筋が全く通らないのは承知していたけれど、とにかく、そうとしか言い様がないのだから仕方ない。
俊秀は吐息をついた。恐らく、どこかで逢ったことがあるというのは自分の思い込みにすぎないのだろう。
「それでは、これで失礼します」
どう見ても、ひと間しかないこの家には、この少女しか住んでいないようだ。若い女の一人住まいにいつまでも男が居座るのも迷惑だろう。
気遣って出てゆこうとした俊秀の手にやわらかな手が重ねられた。
なのに、どこかで逢ったことがあるとは―? 自分でも話の筋が全く通らないのは承知していたけれど、とにかく、そうとしか言い様がないのだから仕方ない。
俊秀は吐息をついた。恐らく、どこかで逢ったことがあるというのは自分の思い込みにすぎないのだろう。
「それでは、これで失礼します」
どう見ても、ひと間しかないこの家には、この少女しか住んでいないようだ。若い女の一人住まいにいつまでも男が居座るのも迷惑だろう。
気遣って出てゆこうとした俊秀の手にやわらかな手が重ねられた。