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九尾狐(クミホ)異伝
第2章 突然の求婚
「いいえ」
あたかも悪戯を見つけられた子どものように、手を引っ込め背中に回して隠そうとする。
明らかに俊秀の眼に触れるのを警戒しているようだ。
なおも不審顔の俊秀に、娘が曖昧な笑顔で応える。
「たいしたことはないのです。料理をしていて、火傷してしまいました。それよりも、今夜はここにお泊まり下さい」
「いや、幾ら何でも、それは」
俊秀は躊躇を見せたが、娘は頑としてきかなかった。
結局、俊秀はその夜、見知らぬ娘の家に泊まることになった。近所に男が泊まっているのを知られては娘の評判に傷が付く―と、俊秀は夜明け前には暇乞いをした。
あたかも悪戯を見つけられた子どものように、手を引っ込め背中に回して隠そうとする。
明らかに俊秀の眼に触れるのを警戒しているようだ。
なおも不審顔の俊秀に、娘が曖昧な笑顔で応える。
「たいしたことはないのです。料理をしていて、火傷してしまいました。それよりも、今夜はここにお泊まり下さい」
「いや、幾ら何でも、それは」
俊秀は躊躇を見せたが、娘は頑としてきかなかった。
結局、俊秀はその夜、見知らぬ娘の家に泊まることになった。近所に男が泊まっているのを知られては娘の評判に傷が付く―と、俊秀は夜明け前には暇乞いをした。