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九尾狐(クミホ)異伝
第2章 突然の求婚
もう二度と、ここに来ることもないのだろう。そう思うと、このまま帰りたくないとすら考えてしまい、俊秀は自分を嘲笑った。
今、自分が考えている胸の内を知っても、この美しい娘は自分が信頼するに値する男だと思うだろうか?
「また来て下さいますか?」
突如として娘の口から出た願いに、俊秀は愕きを隠せなかった。
「来ても良いのですか?」
娘が一瞬、恥じらうように頬を染め、コクリと頷く。思わず抱きしめたい衝動を堪え、俊秀は頷いた。
「必ず来ます」