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九尾狐(クミホ)異伝
第2章 突然の求婚
近づくにつれ、銅鑼の音は賑やかというよりは騒々しくなってくる。
粗末な家々が建ち並ぶ通りが途切れ、賑やかな目抜き通りへと変わる辻の部分に人だかりができていた。
どうやら大道芸の一座が芸を披露しているようだ。ここら辺ではあまり見かけない顔ばかりから察すると、旅の一座なのだろう。
今は、巨人のような大男が口から火を噴いている最中である。つるつるの禿頭に、茹で蛸のように紅い顔。まさに見憶えがありすぎるくらいある面相に、俊秀は愕くよりも呆れた。
あの男はやはり、芸人だったのだ。道理で、堅気の商売をしているようには見えなかったはずだ。大男が龍のように口から焔を吹く度に、輪になった見物人からやんややんやの喝采が起こる。
粗末な家々が建ち並ぶ通りが途切れ、賑やかな目抜き通りへと変わる辻の部分に人だかりができていた。
どうやら大道芸の一座が芸を披露しているようだ。ここら辺ではあまり見かけない顔ばかりから察すると、旅の一座なのだろう。
今は、巨人のような大男が口から火を噴いている最中である。つるつるの禿頭に、茹で蛸のように紅い顔。まさに見憶えがありすぎるくらいある面相に、俊秀は愕くよりも呆れた。
あの男はやはり、芸人だったのだ。道理で、堅気の商売をしているようには見えなかったはずだ。大男が龍のように口から焔を吹く度に、輪になった見物人からやんややんやの喝采が起こる。