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九尾狐(クミホ)異伝
第2章 突然の求婚
最後に、兄が妹に背を向け、妹が同時に二本の剣を投げた。高く宙に浮いた剣は、やがて兄の手にすっぽりと収まる。兄は後ろ向きのまま、妹の方は全く見ないで落ちてきた二本の剣をそれぞれの手で見事に受け取った。
それが最後の決め技となった。終わっても、見物人たちは魂を抜き取られでもしたかのように、身じろぎもしない。
ややあって、座長らしい小男が何か言い、その挨拶を合図として観衆から割れんばかりの拍手が起こった。
俊秀もまたボウと惚けたように華麗な剣舞を眺めていたが、やがて、見物人たちの中にあの娘を認めた。彼の場所からは丁度、輪の反対側にいる。
すぐに娘のところに行こうとしたその時、また、銅鑼の音が高々と鳴り響いた。銅鑼の音が開始を告げたかのように、それまで輪になっていた観衆が思い思いに手脚を動かし、踊り始める。
それが最後の決め技となった。終わっても、見物人たちは魂を抜き取られでもしたかのように、身じろぎもしない。
ややあって、座長らしい小男が何か言い、その挨拶を合図として観衆から割れんばかりの拍手が起こった。
俊秀もまたボウと惚けたように華麗な剣舞を眺めていたが、やがて、見物人たちの中にあの娘を認めた。彼の場所からは丁度、輪の反対側にいる。
すぐに娘のところに行こうとしたその時、また、銅鑼の音が高々と鳴り響いた。銅鑼の音が開始を告げたかのように、それまで輪になっていた観衆が思い思いに手脚を動かし、踊り始める。