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九尾狐(クミホ)異伝
第2章 突然の求婚
「少しだけ」
二人は連れ立って娘の家に戻った。
「良かった。丁度、晩ご飯を作ろうと思っていたんです。食べていってくれますよね」
俊秀には、実に嬉しい誤算だった。
「でも、迷惑なのでは―」
「私は食べていって下さったら、嬉しいわ」
そのひと言で、俊秀の心は決まった。
俊秀は娘が甲斐甲斐しく動き回るのを愉しげに眺めた。室は一つしかないが、続きで土間になった厨房がついている。
娘が厨房に続く扉を開けっ放しにしたので、俊秀は思う存分、その仕事ぶりを見ることができた。
半刻が経った頃、夕飯が出来上がった。鶏肉をキムチで包んで焼いたもの、更に具だくさんの汁(クツ)飯(パ)。味も素晴らしかった。
娘と差し向かいで箸を動かしながら、俊秀は生まれて初めて〝幸福〟を噛みしめていた。
二人は連れ立って娘の家に戻った。
「良かった。丁度、晩ご飯を作ろうと思っていたんです。食べていってくれますよね」
俊秀には、実に嬉しい誤算だった。
「でも、迷惑なのでは―」
「私は食べていって下さったら、嬉しいわ」
そのひと言で、俊秀の心は決まった。
俊秀は娘が甲斐甲斐しく動き回るのを愉しげに眺めた。室は一つしかないが、続きで土間になった厨房がついている。
娘が厨房に続く扉を開けっ放しにしたので、俊秀は思う存分、その仕事ぶりを見ることができた。
半刻が経った頃、夕飯が出来上がった。鶏肉をキムチで包んで焼いたもの、更に具だくさんの汁(クツ)飯(パ)。味も素晴らしかった。
娘と差し向かいで箸を動かしながら、俊秀は生まれて初めて〝幸福〟を噛みしめていた。