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九尾狐(クミホ)異伝
第2章 突然の求婚
この娘は容貌が美しいだけではなく、よく働き、しかも優しく、勇気がある。並の娘なら、役人に追われている男を自ら助けたりはしないはずだ。
こんな女を妻にすることができたら、どれほど幸せなことだろう。
「そう言えば、まだ君の名前を訊いていなかった」
俊秀が笑いながら言うと、娘もまた微笑む。
「彩里」
「良い名前だな。美しい里、君にはぴったりだ」
娘―彩里は何かを思い出すような瞳で言った。
「この名前は、お婆ちゃんがつけてくれたんです。私が生まれた山は、とっても綺麗で、特に秋は素敵なんですよ。今の季節、山は赤や黄色に色づいて、どんな宝玉や美々しい布よりも綺麗だもの」
「彩里は漢陽の生まれではないのか?」
こんな女を妻にすることができたら、どれほど幸せなことだろう。
「そう言えば、まだ君の名前を訊いていなかった」
俊秀が笑いながら言うと、娘もまた微笑む。
「彩里」
「良い名前だな。美しい里、君にはぴったりだ」
娘―彩里は何かを思い出すような瞳で言った。
「この名前は、お婆ちゃんがつけてくれたんです。私が生まれた山は、とっても綺麗で、特に秋は素敵なんですよ。今の季節、山は赤や黄色に色づいて、どんな宝玉や美々しい布よりも綺麗だもの」
「彩里は漢陽の生まれではないのか?」