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九尾狐(クミホ)異伝
第2章 突然の求婚
その問いに、彩里がハッとした表情になった。
「わ、私はこの漢陽から少し離れた近在の村で生まれたの。村のすぐ後ろは山だったから、子どもの頃はよく山で遊んだわ」
彩里の告げた村も山の名も、俊秀にとっては馴染み深いものだった
ごめんなさい、喋り過ぎたみたい。
彩里は呟くと、後はうつむいて、ひたすら汁飯を匙で掬う作業に没頭していた。
どうやら、どこで生まれ育ったかは、あまり訊かれたくないらしい。
「俺もその山になら、よく行くよ。何しろ、俺が売る薬草は、殆どその山から取ってくるからな。俺は、あの山のお陰で暮らさせて貰ってるみたいなもんさ。山には神さまがいるって昔から言うから、山の神さまには感謝してるよ」
「わ、私はこの漢陽から少し離れた近在の村で生まれたの。村のすぐ後ろは山だったから、子どもの頃はよく山で遊んだわ」
彩里の告げた村も山の名も、俊秀にとっては馴染み深いものだった
ごめんなさい、喋り過ぎたみたい。
彩里は呟くと、後はうつむいて、ひたすら汁飯を匙で掬う作業に没頭していた。
どうやら、どこで生まれ育ったかは、あまり訊かれたくないらしい。
「俺もその山になら、よく行くよ。何しろ、俺が売る薬草は、殆どその山から取ってくるからな。俺は、あの山のお陰で暮らさせて貰ってるみたいなもんさ。山には神さまがいるって昔から言うから、山の神さまには感謝してるよ」