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九尾狐(クミホ)異伝
第2章 突然の求婚
それから、俊秀は薬草摘みに行くときの話を面白おかしく話した。行って帰るだけで丸一日かかるので、朝はまだ星が出ている頃に都を出て、夜は夜でまた陽が落ちて星の輝く頃に漸く帰ってくるのだと。
が、彩里は彼の話にはさして興味がないようで、気のない返事が時折帰ってくるだけだ。
「ごめん、俺の話、退屈だよね」
一方的に自分のことばかり喋り過ぎたことを反省していると、彩里が首を振った。
「ううん、そんなことない。俊秀さんの話はとても面白いわ。でも、もう山の話はあまりしないで、お願いだから」
縋るような眼で見つめられ、俊秀の身体が俄に熱を帯びた。
が、彩里は彼の話にはさして興味がないようで、気のない返事が時折帰ってくるだけだ。
「ごめん、俺の話、退屈だよね」
一方的に自分のことばかり喋り過ぎたことを反省していると、彩里が首を振った。
「ううん、そんなことない。俊秀さんの話はとても面白いわ。でも、もう山の話はあまりしないで、お願いだから」
縋るような眼で見つめられ、俊秀の身体が俄に熱を帯びた。