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九尾狐(クミホ)異伝
第2章 突然の求婚
「これでも奮発して、銀の簪を買ったんだ」
露店で売る品にしては、いささか高価すぎるほどの簪は銀細工で、一輪の秋桜が透かし彫りで繊細に再現されている。
俊秀は彩里の手のひらから簪を取ると、手ずから艶やかな黒髪に挿してやった。まだ少女の彩里は長い黒髪を後ろで一つに束ねて編んで垂らしている。
「婚礼の日に髪を結い上げて、この簪を飾ったら、それこそ天女のように綺麗だろうな」
「そんな天女だなんて」
彩里がおかしそうに笑うと、俊秀はムキになったように言った。
「俺には彩里が天女さまに見えるんだよ!」
二人はしばらく見つめ合っていたかと思うと、どちらからともなくプッと吹き出した。
「俺たち、夫婦になっても、喧嘩するのかな」
「喧嘩したら、その度にまた仲直りすれば良いの」
露店で売る品にしては、いささか高価すぎるほどの簪は銀細工で、一輪の秋桜が透かし彫りで繊細に再現されている。
俊秀は彩里の手のひらから簪を取ると、手ずから艶やかな黒髪に挿してやった。まだ少女の彩里は長い黒髪を後ろで一つに束ねて編んで垂らしている。
「婚礼の日に髪を結い上げて、この簪を飾ったら、それこそ天女のように綺麗だろうな」
「そんな天女だなんて」
彩里がおかしそうに笑うと、俊秀はムキになったように言った。
「俺には彩里が天女さまに見えるんだよ!」
二人はしばらく見つめ合っていたかと思うと、どちらからともなくプッと吹き出した。
「俺たち、夫婦になっても、喧嘩するのかな」
「喧嘩したら、その度にまた仲直りすれば良いの」