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九尾狐(クミホ)異伝
第2章 突然の求婚
 彩里の至極真っ当な言葉に、俊秀は幾度も頷く。
「そうだな、彩里の言うとおりだ」
 その夜、俊秀は彩里の家に泊まった。
 一つ布団に寄り添って眠りながら、俊秀は思い出したように口にした。
「不思議だ。俺は、どうしても彩里をずっと前から知っているような気がしてならないんだ。何でかな、まだ出逢ってやっと二度めなのに」
 俊秀は彩里の右手を取ると、そっと手のひらに唇を押し当てる。三日前に見た時、彩里の手首に巻かれていた布は、既になくなっている。
「ここ」
 と、彼は彩里の手のひらに口づけを落としながら言った。
「火傷は治ったのか?」
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