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九尾狐(クミホ)異伝
第3章 月夜の変化(へんげ)
 一体、このような夜更けに、どこに行ったというのだろうか。道には犬の仔一匹おらず、周囲はまるで廃墟と化したかのように静まり返っていた。
 俊秀はふと思いついて、部屋に戻った。裏口に続く庭とも呼べない庭を確かめてみようと思ったのである。
 裏口もやはり小さな両開きの扉がついていて、俊秀はそこに小さな畑を作り、野菜を植えていた。つがいの鶏も飼っている。元々はただの空き地であった場所を、彩里の家で共に暮らすようになってから、彼自身が庭にしたのだ。
 祝言を挙げたのは、求婚してからわずか数日後のこと。仲人兼立会人はヨンス夫妻に頼み、この家でささやかな祝言を行った。結婚を機に、俊秀はそれまで暮らしていた家から彩里の家に引っ越してきた。
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