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九尾狐(クミホ)異伝
第3章 月夜の変化(へんげ)
彩里がクスリと笑った。
「おかしなことを言うのね。私の方こそ、自分でも信じられないくらい今、幸せなのよ。私がどんなに幸せで満ち足りているか、あなたに伝えきれないのがもどかしいくらい。私はあなたをひとめ見たその瞬間から、〝私にはこの男しかいない〟と思ったの。あなたは私にとって到底、手の届かない遠い人だったけれど、あなたとたとえほんのわずかな間でも一緒にいられるのなら、この生命と引き替えにしても良いからと月に祈ったわ。そうしたら、月は願いを聞き届けてくれた。だから、今、私はここにいる」
「頼むから、彩里。そんな不吉なことは言わないでくれよ。俺はお前にそんな風に言って貰えるほどのたいした男じゃないし、ほんのわずかな間、お前と一緒にいるだけでは嫌だ。
「おかしなことを言うのね。私の方こそ、自分でも信じられないくらい今、幸せなのよ。私がどんなに幸せで満ち足りているか、あなたに伝えきれないのがもどかしいくらい。私はあなたをひとめ見たその瞬間から、〝私にはこの男しかいない〟と思ったの。あなたは私にとって到底、手の届かない遠い人だったけれど、あなたとたとえほんのわずかな間でも一緒にいられるのなら、この生命と引き替えにしても良いからと月に祈ったわ。そうしたら、月は願いを聞き届けてくれた。だから、今、私はここにいる」
「頼むから、彩里。そんな不吉なことは言わないでくれよ。俺はお前にそんな風に言って貰えるほどのたいした男じゃないし、ほんのわずかな間、お前と一緒にいるだけでは嫌だ。