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九尾狐(クミホ)異伝
第3章 月夜の変化(へんげ)
俺はお前とずっと一緒にいたい。子どもを山のように生んで、子どもたちが一人前になって離れていった後も、頭が真っ白な爺さん婆さんになるまで、お前に傍にいて欲しいんだよ」
「―もちろんよ、あなた。さっきも言ったでしょう。あなたが私に出てゆけと言わない限り、私は絶対に傍を離れたりしないって」
妻の黒い瞳が濡れたように輝いている。
窓から障子越しに差し込む月光が彩里の瞳に映り込み、煌めいた。
吸い込まれそうな瞳。俊秀はいつも、この瞳に溺れてしまう。儚げでいながら、強い光を持つ瞳のこの娘に心を奪われ、魂まで絡め取られてしまう。
今夜も彼は、彩里の瞳に幻惑されそうだ。
妻の双眸が一瞬、紅く染まったように見え―俊秀は息を呑む。
「―もちろんよ、あなた。さっきも言ったでしょう。あなたが私に出てゆけと言わない限り、私は絶対に傍を離れたりしないって」
妻の黒い瞳が濡れたように輝いている。
窓から障子越しに差し込む月光が彩里の瞳に映り込み、煌めいた。
吸い込まれそうな瞳。俊秀はいつも、この瞳に溺れてしまう。儚げでいながら、強い光を持つ瞳のこの娘に心を奪われ、魂まで絡め取られてしまう。
今夜も彼は、彩里の瞳に幻惑されそうだ。
妻の双眸が一瞬、紅く染まったように見え―俊秀は息を呑む。