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誘惑のオークション
第1章 シーン1
「最後に猿轡をいたします。苦しかったら首を左右に振ってください。これ以後のオークションのキャンセルは出来ません。」

これも柔らかな生地で出来た猿轡をされ、椅子に座らせられた。

「それでは奈緒美様の出番まで少々お待ちください。」

アイマスクで視界を奪われた状態になると急に心細くなる。いきなり不安が押し寄せてきた。

胸の動悸が激しくなって苦しいほどになってきた。

よせばよかったと後悔しているのか、それとも期待で昂まっているのか、奈緒美は自分で自分の気持ちが分からなかった。

もう少しで自分の番がやってくる。ここまできてやめることなんてできるだろうか?

オークション会場の熱気が奈緒美のいる控え室まで感じられる。

そうか、カナはこれ以後のオークションのキャンセルは出来ないっていっていた。

ということはもう抗うすべはなく私は競りにかけられるのだわ。

そうして観客の目に裸身をさらされ。あるいは下見といって体を撫で回されるのかもしれない。これから始まる事の妄想が頭の中に渦巻いていた。
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