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誘惑のオークション
第1章 シーン1
 急病か何かだろうか?それとも怪我か何か。

 真一の身に何かが起こったことは間違いないことに思えた。

 自分の身の降りかかったことより今は真一のことが心配だった。

 早くスタッフに事情を聞きたい。その思いでいっぱいだった。

 足の固定が解かれ後ろ手に縛られている縄が解かれ始めた。

 手が自由になると、無理に動かしたせいで痛むひじを伸ばしながら口に噛まされていた猿轡とアイマスクを毟り取るように外した。

 まぶしい光が眼を射た。

 ずっと視界を覆われていたせいですぐに瞳孔が対応できず、目を細めて周囲を見渡そうとした目の前に意外な顔があった。

 真一?

 心配してた真一の顔がそこにあった。

 無理やり轡を外すと思わず大声になった。

「どうして?真一?真一だったの?え?どういうこと?」

「俺だよ。」

「えー、私、真一じゃないと思って、それで、なんとか逃げようと思って。絶対違うと思って。えー、私の勘違いだったの?」
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