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第1章 シーン1

　涙が出てきた。

　止めようとしてもしゃくりあげるようになって止まらない。

　わあわあ泣いている姿は自分でも恥ずかしいと思ったがどうしても止められなかった。

「申し訳ありません。私からご説明いたします。」

　進行の男性が前に進むと説明を始めた。

「オークションの結果の公開プレイに際しましては、出品者と落札者が同一の場合、初回のみちょっとした決まりがありまして、落札された奴隷が落札者と信じていた人と異なる人に落札されたのではないかというお遊びなのですが、勿論落札者の許可を得た上でのことです。それにより落札された奴隷がどういう反応を示すかを皆で見て楽しむという趣向です。まあ、殆どは誰に落札されたかは無関心な方が多く、自分の世界に浸りきって観客の期待に添わないことが多いのですが、今回はいきなり他の人との相違が分かった段階から猛烈な反応がありました。」

　期せずして周囲の観衆から拍手が巻き起こった。