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幸せの時効
第8章 真実

しかし、それは出来なかった。妻と弟の関係を認め、二人を結婚させようとして動き出したとき、湯島の弟は突然他の女性と結婚したからだ。妻が子種欲しさに自分を誘惑したことに、弟は腹を立てた。そしてそんな兄の妻を愛して苦しんでいた自分が愚かに感じ、終止符を打った。弟を愛していた身重の妻は、裏切られた衝撃に堪えきれず、湯島に縋り付いたという。全てを湯島のせいにして。
自分で負い目に感じていた不具合を妻に詰られたとき、湯島の心はそれを受け止めるしか出来なかった。そして、私との関係も妻には許せなかった。自分のことを棚に上げて。
私の存在は、湯島の妻にとって自分を脅かす存在だった。だからあの夜調べ回って私と湯島に引導を渡したのだ。自分を守る為に。
二人が部屋から出ていったあと、私は衝動的に自殺を図った。だが、ただ事でないと駆けつけたホテルの従業員に発見されて、病院へ運ばれた。気がつくと両親がいた。相手の男の名を教えろと叫ぶ父親、ただ泣き続ける母親。私はこの時から心を閉ざし、手に余った両親は、母方の祖母に私を預けた。祖母は時間をかけて私を救ってくれた。その後両親と和解することなく、祖母の世話を受けて大学を卒業し、医学部へ進んだ。
自分で負い目に感じていた不具合を妻に詰られたとき、湯島の心はそれを受け止めるしか出来なかった。そして、私との関係も妻には許せなかった。自分のことを棚に上げて。
私の存在は、湯島の妻にとって自分を脅かす存在だった。だからあの夜調べ回って私と湯島に引導を渡したのだ。自分を守る為に。
二人が部屋から出ていったあと、私は衝動的に自殺を図った。だが、ただ事でないと駆けつけたホテルの従業員に発見されて、病院へ運ばれた。気がつくと両親がいた。相手の男の名を教えろと叫ぶ父親、ただ泣き続ける母親。私はこの時から心を閉ざし、手に余った両親は、母方の祖母に私を預けた。祖母は時間をかけて私を救ってくれた。その後両親と和解することなく、祖母の世話を受けて大学を卒業し、医学部へ進んだ。

