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運命の恋人
第2章 昌希
3月…

昔は、桜と言えば4月、入学式の頃に満開から散り始め、で、花吹雪の中ランドセル背負った新入生が…なんて言ったらしいけど、最近は3月初旬から半ばが桜のピークだ。やっぱり温暖化なんだろうな。

そして、文字通り、桜吹雪の中、俺たちは卒業式を迎える。

式を終え、一旦家に帰って、夕方から友達と卒業記念打ち上げだ。

家に帰ろうとしたら、小谷さんに呼び止められた。
話があると言われ、連れて行かれたのは、学校の裏手。

「何?話って…」

俺の前を歩いていた小谷さんが急に振り向き。

一瞬の出来事だった。

ふわりと軽い感触が、唇を掠める。

え?

「幸村くん、ありがとう。幸村くんのおかげで、神戸が好きになったわ」

それだけ言うと、小谷さんは去っていった。

俺はしばらくその場に佇んで、唇に残る淡い、甘い感触を確かめるように口もとを手で覆った….





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