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運命の恋人
第3章 間宮 智之
サトシさんが僕の背中にブランケットを掛けてくれる。
カチャカチャというベルトの音で、サトシさんが服を着ているのが判った。
僕はただ、ブランケットの中で震えていた。

「兄ちゃんの部屋に入る時は、ノックして返事があってから、っていつも言ってんだろ、優美…」

サトシさんが深い溜息と共に呟く。

「…ご、ごめ、な….さ…げ、玄関に…間宮くんの、靴が…あった、から…来て、くれてるんだ、って…おも、て…探して…まさか…」

優美ちゃんの泣きそうな震える声。

僕は、ブランケットの中から出る勇気もなく、鼻の奥がツンとして、ぽたり、と落ちた涙がシーツに吸い込まれるのを見ていた。

「コップは俺が片付けるから、お前部屋に行ってろ。後でちゃんと話すから」

サトシさんの一言で、ゆっくりと、廊下を遠ざかっていく、足音がして。

ブランケットをそっと捲ったサトシさんが、

「ごめんな、間宮クン」

と、僕の耳にキスをした。


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