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運命の恋人
第3章 間宮 智之
7月終盤。
思い切って幸村クンに声を掛けてみた。

「忙しくて歓迎会も出来なかったし、これからウチ来ない?酒だけはあるし、俺料理が趣味なんだ。割と評判いいんだよ」

会社ではカッコつけて一人称を俺で通してる。素のまんま僕で通してたら芋づる式にボロが出そうで、短絡的だけど、敢えて男っぽく、を意識してのことでもあった。
我ながら小さいな、と思いながら、そういうトコばっかり気にしちゃうんだよね。
幸村クンは二つ返事で乗ってきた。

「いいんですか?間宮さん、ウチ何処ですか?」

「近いよ。寮とは反対方向だけど、会社から歩いて行けるから。」

「マジすか。この辺て家賃高いんじゃ…」

「高いけど、どこに住んでも便利なトコは高いもん。俺も生まれは田舎だから、どうも通勤ラッシュが苦手でさ。あの電車に乗るくらいなら高くても徒歩か自転車で通えるトコに住みたい。」

「田舎って、どちらですか?、」

「新潟。米と酒は美味いよ。幸村くん、日本酒呑む?実家から送ってきた大吟醸あるよ?」

「呑んだことないです。日本酒ってなんか敷居高くないですか?」

「そんな事ないよ。美味しい飲み方教えてあげるよ」

幸村クンが、ウチに来てくれた。
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