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第3章 間宮 智之

僕の記憶に間違いがなければ、鏡に映るスタイリストさんは、サトシさんだ。

名前も岡田だし…ファーストネームが違うけど美容師さんも芸名みたいに名前変えたりするのかな…
タレントみたいに活動したりしてるヒトもいるわけだし、そんな人もいるのかも。そもそも一般でだって愛称みたいなので通す人もいるわけだし、本名で仕事しないといけないなんて決まりもない。

向こうが気付いてるかはわからない。
10年も経ってるし、場所だって新潟と東京だ。
でも。もし人違いじゃなかったら…
僕は思わず鏡の中の視線を逸らす。

あんな形で、関係を持ってしまった人と、こうして思わぬところで再会すると、すんごく気まずい!!
同時に、優美ちゃんに見られてしまったこととか、 アレやコレや…
黒歴史として記憶の彼方に葬ったはずの諸々が一気に蘇ってきて、どんな顔したらいいかわからなくなった。

『鏡の中の岡田さん』は、そんな僕の緊張とか気まずさなんか関係なく、

「今日はどんな感じがご希望ですか？お好みとか？」

とにっこり微笑みかけてくる。