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運命の恋人
第1章 朋会
「あのねぇ、山崎さん…」

僕は若干脱力しながら、常識的に考えて…と切り出しかけて言葉を飲んだ。

僕の説く常識が通用するコなら、そもそもこんな事にはならない。
つまりこのコは、僕の知る常識の範疇の外に生きている。
要するに、今ここで僕が常識論を振りかざすのは無意味だ、ってことだ。
僕は言葉を選び、慎重に話した。

「先に約束を交わしてたのだとしても、彼は3年前に結婚してしまった訳でしょう?残念ながら、今の法律で山崎さんの権利を主張することはできないよ。結婚なんて言ってしまえば先着順だから。後から私の方が先に約束してたって言ったところで、役所には関係ないんだ。一度受理された婚姻届は、本人たちの離婚届でしか無効にはならない。そしてそれに第三者が関与するということは、他人の家庭を壊すということだよ。…少なくとも彼はそれを望んではいないと僕は思うけど、それは果たして君の望む結果になるんだろうか?」
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