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よくある恋愛モノ 〜見えない心〜
第8章 夜明け
今日は夏休み前最後の登校日
美和も悠も無事試験に合格し、伸び伸びとした気分で過ごしていた
「じゃあ思い出したんだ、凪くんのこと」
「うん。記憶がなかった頃の気持ちとごちゃごちゃになってまだ混乱してたりするけど」
それでも幸せそうに笑う美和を見て悠は足を止める
「悠……?」
「美和ちゃん」
「ん?」
急に深刻そうな顔をする悠を心配するように首を傾げる美和
「ごめんね……」
「え?」
ずっと記憶に関して黙っていたことだろうか?
「別に、色々考えてくれてのことだったんだろうから気にしてないよ?」
美和の返しに今度は悠が えっ、と顔を上げる
“あ、そっか……”
美和は自分と凪が付き合っていたことを知らないのだ
「あの……」
言い掛けて、悠は口をつぐんだ
凪が言わなかったのなら、自分もそれに倣うべきだろう
「どうしたの?」
「……ううん! 良かったね、思い出して」
よほど嬉しいのだろうか
美和はまた顔を綻ばせる
「ところで……」
悠は周りを見渡して彼を探す
「龍青くんは?」
「りゅう…北里くんは……今は距離置きたいって言われて……いつか自分自身を許せたら、今度は良い友達として付き合って欲しいって」