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よくある恋愛モノ 〜見えない心〜
第3章 消せない過去、喪われた想い
悠の指差す先には、数人の女性に囲まれた男の姿が。
「ねーねー、名前なんて言うの?」
「いっつもここにいるよね。どこの学部?」
「……」
以前なら怒鳴りつけていた凪だが、ただため息をついて彼女たちを見下ろした
「やだ怖ーい」
「照れてるんだよ。かわいー」
それにあまり効果はなく、女たちはクスクスと笑う
「……チッ」
凪に舌打ちされたところで、笑いながらではあるがようやく去っていった
「ね?」
一部始終を遠巻きに見ていた美和は悠に同意を求められる
「ね、と言われても……」
“そんな面倒くさそうな顔するならこなければいいのに……”
なんてことを思ってしまう
「全ては美和ちゃんの為だよ! ほら行こ!」
「川本さん!」
悠が美和の腕を引っ張っていこうとした矢先、別方向からお呼びが掛かった
「え? 北里くん?」
振り向くと優しそうな顔の男子が立っていた
「これ実験室に落ちてたんだけど、川本さんのじゃない?」
そう言ってペンを差し出す
「ああ、うん! なんで分かったの?」
「川本さんの席の近くにあったから……」