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よくある恋愛モノ 〜見えない心〜
第3章 消せない過去、喪われた想い
美和が怒りに任せて発したその言葉に凪の苛立ちが絶頂に達する
何も言わないままに奥歯を噛み締め、必死にそれをやり過ごそうとした
「お前はトラブルに巻き込まれやすいから気をつけろってんだよ……」
「悪かったですね。どうせ私はドジで間抜けで……」
「あのチビも」
抑え切れない
知らず知らずのうちにずっと溜め込んでいた不満がふつふつと沸き上がってくる
「森継みたいなことしないって、どうして言える?」
「チビじゃありません。ちゃんと田島悠って名前があるの」
「どうでもいい」
俺は俺とお前のことを言ってるんだ
なのどうしてこうも話がこじれる
「……安心して」
凪の苛立ちも相当だが、普段彼のように小発散しない美和の比ではなかった
「凪なんかよりずっといい子だから」
「…っ…てっめ……」
「いい加減にしてよ!」
道のど真ん中で美和は大声で叫んだ
普段の彼女なら絶対にしないことだ
「私は凪の所有物じゃないの! そっちの都合で振り回さないで!」
その勢いにさすがの凪も言葉を失う
「何言ったって聞く耳持たないし。もういいよ……」
涙を堪えるように俯いたまま凪に背を向けて歩き出す