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よくある恋愛モノ 〜見えない心〜
第3章 消せない過去、喪われた想い
「おい!」
バシッ
引き留めようと伸ばされた凪の手を勢い良く弾く
「一人にしてって言ってんの。そんなことも分からないわけ?」
そのまま立ち尽くす凪を置いて美和は再び歩き出した
彼への罪悪感や苦しいほどの愛しさから逃れるように、その歩幅は段々と大きくなる
そしていつの間にか走っていた
角を曲がって凪の姿が見えなくなっても、ひたすらに。
"もうわかんないよ……っ"
怒り、苛立ち、罪悪感
好きなのに、これらの気持ちがそれを凌駕して心の中でぐるぐると渦巻く
こんな私を好きだと繰り返す、そのことにすら申し訳なさを感じる
「……っ」
混乱の中で涙で視界が曇る
家の近くの交差点で、その信号が危険を知らせていることに美和は気がつかなかった
キキキーッ!
閑静な住宅街に、激しいブレーキ音が響き渡った−−−
美和が通う大学の近くで、少し寂しそうに歩く女の姿
彼女の目がふと視界に入り込んできた男子を捉えた
「あ、龍青くん!」
名前を呼ばれた男子は驚いたように振り向く
そして呼び止めた相手を認識した