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よくある恋愛モノ 〜見えない心〜
第3章 消せない過去、喪われた想い



ここまで来てようやく冷静になり、取り乱した自分が馬鹿馬鹿しい



“帰るか”



朝になったら電話しよう

素直に謝れれば良いのだが−−−



「凪くん?」



戻ろうと足を向けた時、偶然にも美和の母親と出くわした



「ぁ……なん、で……」



何故こんな時間に?

その腫らした目はなんだ?

なんでそんな顔で俺を見る?



「美和に用事だった……?」

「ええ、まぁ」



収まっていた心臓の鼓動がまた速くなる



「ごめんなさい、今……病院、で……」



恐怖にも似た感情が抑えられず、凪の指がぴくりと動く

今にも母親に掴み掛かってしまいそうだ



「何が……」



精一杯声を絞り出す



「昨日の帰りにね、この近くで車に跳ねられて……」



凪の体が震えた

昨日の帰り−−−

あの口論の後−−−?



「容態は……どこの病院に……」

「今は落ち着いてるわ。夫が側についてる。だけど……」



母親は言うべきかどうか迷うように目を泳がせた

その様子が余計に彼の不安を煽る



「はっきり言ってくれ……」



俯きながら、覚悟を決めるように拳を握り締める



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