この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
よくある恋愛モノ 〜見えない心〜
第3章 消せない過去、喪われた想い
ここまで来てようやく冷静になり、取り乱した自分が馬鹿馬鹿しい
“帰るか”
朝になったら電話しよう
素直に謝れれば良いのだが−−−
「凪くん?」
戻ろうと足を向けた時、偶然にも美和の母親と出くわした
「ぁ……なん、で……」
何故こんな時間に?
その腫らした目はなんだ?
なんでそんな顔で俺を見る?
「美和に用事だった……?」
「ええ、まぁ」
収まっていた心臓の鼓動がまた速くなる
「ごめんなさい、今……病院、で……」
恐怖にも似た感情が抑えられず、凪の指がぴくりと動く
今にも母親に掴み掛かってしまいそうだ
「何が……」
精一杯声を絞り出す
「昨日の帰りにね、この近くで車に跳ねられて……」
凪の体が震えた
昨日の帰り−−−
あの口論の後−−−?
「容態は……どこの病院に……」
「今は落ち着いてるわ。夫が側についてる。だけど……」
母親は言うべきかどうか迷うように目を泳がせた
その様子が余計に彼の不安を煽る
「はっきり言ってくれ……」
俯きながら、覚悟を決めるように拳を握り締める