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よくある恋愛モノ 〜見えない心〜
第4章 狂った歯車
「あ」
不意に克己が声を上げ、陽菜乃もその視線を追って驚いた顔をした
「北里先輩!」
向こうも此方に気付いて足を止めた
「偶然ですね!」
「あ、ああ」
克己にそう返し、その隣にいる陽菜乃に目を向ける
"ん……?"
だが目が合った瞬間に龍青はその目を逸らしたのだ
「あの、先輩はこんな所で何を……もしかして兄に用事、ですか?」
「え、いや? なんで? ここ和泉さんち近いの?」
「……」
"ウソ下手!"
でもまあ嫌なら深くは聞かないでおこう
「ええ、そうなんです。ホント偶然ですね!」
「そ、そうだね。で、二人とも最後の試合に向けてちゃんとやってる? もうすぐ引退でしょ?」
「はい、もちろんです!」
二人は大きく頷き笑顔を向けた
そんな後輩に龍青も笑顔を返し
「じゃあ頑張ってね」
とだけ言い残して帰って行った
「でね、その時お父さんなんて言ったと思う? “いけすかない奴だ”って言ったんだよ!
……ねぇ、聞いてる?」
「あ、ごめん……」
二人は生返事をする
三人で行動するようになってから二週間ほどたったが、いまだに違和感が拭えなかった