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よくある恋愛モノ 〜見えない心〜
第4章 狂った歯車
やはり無理にでも思い出させるべきなのだろうか
だが“和泉凪”という名前が出る度美和はその話題に触れるのを嫌がった
「なんか分かんないけどその名前あんまり聞きたくないな……」
目を伏せてそう言われるともう諦めるしかなかった
そんな、ある日−−−
どんな廻り合わせか、悠はまたあの男に出会った
それは友人の通う大学の傍のカフェで相手を待っていた時のこと
「あれ……?」
窓の外を一人の大学生らしい男が通りかかった
急いで荷物をまとめ、彼を追って外に出る
「凪くん!」
後ろから大声で名前を呼ばれ、男の足がぴたりと止まる
そして凪はゆっくりと振り返った
「……またお前か」
少しやつれた顔で見下ろす凪の手には携帯が握られている
悠はそれに気付いて言った
「美和ちゃんからの連絡待ってるの? それとも連絡するかどうか迷ってる?」
「……っ」
凪は素早くズボンのポケットにそれをしまった
「お前には関係ない」
この何でも見透かしたような態度が気に食わない
「ごめん、ずっと凪くんのこと気になってて……」
なんで俺に関わりたがる?