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よくある恋愛モノ 〜見えない心〜
第4章 狂った歯車
「あ……」
遠くなる背中に悠は思わず手を伸ばした
そして気持ちを抑えるようにぎゅっとその手を握る
"焦っちゃいけない"
たとえ彼がどんなに優しく、冷たくてもーーー
共にいると決めたのだから。
凪と別れた悠はもと来た道を返って電話をかけてきた相手の元へと向かった
大学近くのカフェと言っていたが−−−
「田島さん」
約束の店の外で彼はテーブルについて待っていた
「びっくりしたよ。急に呼び出すから」
「ほんとごめん」
やって来たウェイターにアイスココアを頼んで悠も深く腰掛ける
「それで?」
「あの、美和…ちゃ、さ……川本さんのことなんだけど……」
「別に名前呼び捨てでいいんじゃない? いつもそうなんだし」
不自然に吃った龍青に悠は少し笑った
「笑うなよ……」
「ごめんごめん。で、美和ちゃんがどうしたの?」
「……」
言いづらそうに目を背ける龍青に悠はまさかと思った
「思い出したの?」
「ううん、全然……」
その答えにほっとしてしまう
“私は美和ちゃんの友達なのに”