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よくある恋愛モノ 〜見えない心〜
第5章 仮初め
不意に美和が足を止め、龍青はぶつかりそうになった
「どうしたの?」
「いや……ソフトクリーム売ってるなと…思って……」
美和の見つめる先には確かにソフトクリームの看板が。
何か思い出があるのだろうかと、龍青がそう思った時、美和が顔をこちらに向けた
「……」
何も言わずにじっと見上げられて龍青の目が泳ぐ
「奢らせてあげてもいいけど」
彼女らしくない上から目線の発言に龍青は目を見開いた
「え、え? 奢ってほしいの?」
「……何でもない」
自分なりにふざけて言ってみた意図が伝わらなかったと気付いて美和は顔を逸らして赤くなった
「ほら、いつも一緒にご飯食べるとき奢りたがるから」
“……!”
その言葉に龍青ははっとする
凪のことだ−−−
今日は二人の初デートなのだから。
−−−龍青にとっては。
「じゃあ、奢らせてもらうよ」
それを悟られないように笑い、美和の先に立って歩き出した
「はい」
「ありがとう」
買ってきたソフトクリームを手にし、二人は石垣に腰掛ける
「ん、おいしい」